100年以上続く𠮷村金物店。建築金物、家庭金物、幅広く取り扱っています。そんな𠮷村金物店の𠮷村満里子さん。近年では「金物屋の嫁」として自身の目利きでセレクトする器屋の展開も開始。主にインスタグラムを通して商品の魅力を発信していますが、そのフォロワーはなんと11.9万人。
「1日1投稿」「通販はやらない」など独自のマイルールを課しながらも、その人気から全国各地の百貨店バイヤーさんからのオファーが絶えず、商品と共に本人も店頭に出向くなど精力的に活動されています。出水の商店街を拠点に各地で活躍される𠮷村さんにこれまでの取り組みとこれからの展望を伺ってきました。
そもそも商店街が好き
𠮷村金物店は現在主人が4代目になります。私自身は地元出水の高校を卒業後に出水の商工会議所に就職し、結婚を機に𠮷村金物店を手伝い始めました。ただ、アンティークやヴィンテージという言葉が出てくる以前から、レトロなもの全般が好きだったこと、そして遊び場は主にプラッセだいわ、ということで、そもそも学生時代からこの商店街が大好きでした。
器屋さんのはじまり
今器屋さんとして商品を陳列しているスペースは、弊社が元々介護用品を扱って展示していた場所です。器屋さんを新事業として始める気はなく、商店街の「土曜祭り」で並べてみようと思いました。近しいタイミングで少しずつ商品の卸あるいは仕入れといった管理を任せてもらえるようになっていたので、「素敵だな」と思える食器を仕入れ出したのが、今思えば始まりだと思います。
元々造形物全般が好きだったこともあり、自分の興味の中に入ってきたことも今につながっているのかな、と思います。ただ、自分のインスタグラムを見返していても思いますが、使い勝手というよりは見て楽しいと思えるものを選んできました。当時から写真も好きだったので、どう見せようかと考えながら「1日1投稿する」ということを決めて取り組み始めました。実はビジネスアカウントではないので、リーチがどう?世代がどう?といったマーケティング的な要素はありません。フォローの数が増えたな、というのも「今日は通知がたくさんくるなぁ」という体感で知ります。そもそもセールストークも苦手なので、インスタグラムのようなSNS上で「紹介」するスタイルは合っていたのかもしれませんね。
百貨店との出会い
商店街にあるお店なので「ぜひ出水に来て、器を見てもらってから、武家屋敷や出水を観光してもらいたい」というコンセプトで営業しており、通販対応はしていません。そんな中で、百貨店さんに声をかけていただいたことはひとつの転機でした。お声を頂くようになったはじめの方は、実はお断りしていました。先程のコンセプトもありますし、業態として利益を出すには縛りも多い。しかし、考え方によっては商店街では出会えないお客様と出会えることは大きな魅力でした。やらないよりもとりあえずやってみよう、ということになり百貨店への出店を決めました。
今は県内だけでなく、九州・関東・関西の百貨店へもタイミングが合えば出店させていただいていますが、毎回本当にたくさんのことを学ばせていただいています。立地による客層だったり、普段と違う環境だからこそのニーズだったり。おうち時間を充実させることにフォーカスが当たっていたコロナ禍ではより多くのオファーがありましたが、今後は少し落ち着いてくるのかな、と思っています。
再び描き始めたイラスト
絵を描くことはずっと好きで、包装紙とかも自分の絵をプリントしているんですが、ある時百貨店の方がその様子を見て「絵にしたらどうですか」と言って頂いて。キャンバスとかも当時馴染みがなかったんですが、「これに描いてみてください」と言われたところからスタートでした。画材としては、鉛筆・アクリル絵の具が主です。
絵のルーツとしては、兄たちの影響が大きいです。当時流行っていた漫画を借りて読んだり、兄たちが好きな音楽を借りて聴いたり。趣味趣向が異なる兄たちだったので、私はどちらにも影響を受けているので、いわゆる雑食です。独学で描き続けてきていますが、今後は展示などもやっていきたいですし、表現の幅を広げたいと考えているのでグッズなども製作中です。アートの世界にどっぷりと浸かるというよりは、日常の中にある表現を見つけて彩りを添えられるようなものにチャレンジしていきたいです。
出水そしてLifenseについて
—–出水はどんなところですか?
自然と食が豊かなところ
—–出水市あるいは北薩のおすすめスポットは?
美味いお酒とメシの飲食店が多くある本町商店街周辺。
—–読者の方に一言お願いします。
美味いものたくさん食べて、 たくさん遊んでください。
DATA
𠮷村金物店<Instagram>
@goryo0115
ゴリョウ<Instagram>
@goryo._.3._.3
写真:柏木 直紀
文章:松島 晋也