北村潤さん/裕美子さん「なんにもないようで、なんでもある」

2025.02.10

創業から今年で20周年を迎えるイタリアンレストランmarcello1990年代後半から2000年代初頭にかけて福岡での修行を経て出水に戻り、レストランを開業した北村ご夫妻。他に類を見ない美味しいお料理はもちろん、ご夫妻の人柄も相まって常連さんを中心にお客様を虜にし続けています。

近年ではワインショップを併設オープンしたり、サルシッチャや生ハム、カンパーニュやパスタソースなど自社製造の製品販売も開始するなど、今もなお進化しています。これまで続けてこられた経緯を振り返り出水の食材にも触れながら、お話を伺ってきました。

大学在学中から料理の道へ

料理の道に入ったのは、大学在学中からでした。父がお店をやっているのもありましたが、なんとなくサラリーマンになって色んなところに出向くというイメージは元々なくて、手に職をつけたいと思っていたので、気づけば頭の片隅にあった料理の道に自然と入っていました。当時福岡にいたのですが、情報もある程度あるし、不自由はなかった。ただ、一人っ子ということもあって「いつか出水に帰らないと」と漠然に思っていました。20代で結婚もしたし、30代になってからいよいよ出水に帰ってくることに。一念発起して始めたのが、このmarcello(マルチェッロ)というレストランです。

南欧料理やフレンチをベースにしていましたが、より親しみやすいイタリアンを提供することにしました。ただ、お料理に詳しい方からはフレンチの要素が色濃く出ているね、と言われることもあります。当時は今みたいにSNSなどもない時代で、突如現れたレストランへの風当たりは優しいものじゃありませんでした。新しい食文化が理解されるまでには、時間がかかるものだなぁというのを体感したことを覚えています。「マヨネーズやケチャップはないの?」と言われたこともありますしね。それでも自分たちのスタイルを崩すことなく20年続けてこられたのは、自分たちが作る料理へのこだわりとそれが何より「好き」、という思いがあったからでした。

身体に良いはみんなに良い

marcelloはとにかく手作りにこだわってこれまでやってきました。そして20年続けてきたこだわりの部分をもっと多くの方に食べてもらいたい、と思うようになり、ご自宅でも召し上がっていただける製品づくりに着手しました。ちょうどそのタイミングがコロナ禍というのもありましたが、その以前から構想だけはあったので思ったよりもすんなり始められました。出水は本当に食材に恵まれている土地柄なので、消費する先がこの地域に限定されるのは勿体無い、と思ったことも製造を始めたキッカケでした。

生まれた時から当たり前にある食材のおいしさに気づくのはとても難しいことですが、外からやってきた人間にはすぐわかるものです。レストランの裏には以前畑があったんですが、嫁いできて初めてその畑に出来たきゅうりを食べた時に衝撃的に美味しかったんです。「食べ物の力ってすごいなぁ」「元気が出るなぁ」と感じたことを今でも覚えています。そう気づいてからは、お野菜に限定せず出水の食材を見渡すと、お魚でもお肉でもなんでも美味しい。県外のお友達が「出水は何にも無いようで、実はなんでもあるね」っていう名言を残してくれました。地元ではその宝物に気付いてない方がまだまだ多いと思います。

ただ、marcelloでお食事をしてもみんながみんなお口にあっていない時もあります。塩加減であったりハーブ類が苦手だったり…。理由は様々ありますが、オーガニックのお野菜をはじめ、人が食べても安心なぶどうやおからなどを食べて育った健康な黒豚、自家製天然酵母でつくったパンなど、食べたお客様が元気になるような食材を使った料理を心がけています。「身体に良い」という事だけでも持ち帰っていただきたい。marcelloではその食材の豊かさもお料理を通じてお伝えしていきたい、と思っています。

実際、近年は出水出身のスポーツ選手がたくさん活躍していますが、それもこの土地の食材から来てると思っています。当たり前ですが、体は食べるもので作られます。素晴らしい食べ物で育った体と遺伝子がスポーツという世界で活躍できる秘訣じゃ無いでしょうか。例えば、学力よりもスポーツを伸ばす町、と仮定してみる。そんなふうに考えて施設や環境が整備されたりするとより一層食材への理解も深まっていきそうだな、と考えています。

誰かの居場所になる

出水だけでなく、近くにある陸続きの長島も、食材の宝庫としてはもちろん人柄やロケーションも含めて本当に素晴らしい場所だと感じています。心の浄化作用がすごい。島としてもしっかり成果を出しているから人も温かい。もちろん食べ物の力もあると思います。私にとっては、自分を解放する特別な場所になっています。marcello20年経って思うことは、だんだんと「誰かの帰ってくる場所」になっていること。久しぶりに「おかえり!」ということもあるし、見送ることもある。皆さんの人生の変化を見せていただいているのは、この場所があるからこそだと思っています。偶発的かもしれないけれど、お店を続けてきてよかったなぁという魅力の一つだと思います。

ワインショップのオープンや特産品を使った商品開発も

そんな中で、レストラン事業とは別に4年前から始めたワインショップは近隣の方も利用していただいていますが、オンラインショップもやっていて、今まで直接ご縁のなかったお客様にも利用していただいています。これは本当に新しいご縁だと思っていて、自然派ワインをたくさんの方に楽しんで欲しい、という私たちの考えを少しずつお伝えしている最中です。食べるものにこだわってきた私たちだからこそ、そこに合わせるワインにもこだわりを持ってお客様に提供できることは大変喜ばしいことです。口にするものは体に良いもの、と思っているからこその業態の変化だと思っています。

marcelloでは、出水の食材で構成したメニューや商品開発などや今までやってきたことの延長でご縁を頂き、特産館いずみさんと1年前から出水の特産品を使った商品開発も行っております。まだまだ、やりたいことはたくさんありますし、そのひとつひとつを丁寧にお客様に対してご提供できるよう準備している最中ですので、これからも楽しみにしていてください。

出水そしてLifenseについて

—–出水はどんなところですか?

食材が豊かなところ

—–出水市あるいは北薩のおすすめスポットは?

長島

—–読者の方に一言お願いします。

enjoy!

DATA

マルチェッロ
https://www.marcello.wine/

マルチェッロ<Instagram>
@marcelloizumi

写真:柏木 直紀/一部marcello提供
文章:松島 晋也

 

( CONTACT )
Lifense(滞在型免許取得)をはじめ、
MAPARTMENT(エキシビジョンルーム)に関する
ご質問やご相談、取材等の依頼はこちらから。
CONTACT US
出水自動車教習所 キャラクター TOP