伊達あすみさん「答えがないからこそやっていく」

2025.01.20

5年前、出水市の本町商店街に現れた【すみとカフェ】。毎週木~土を中心に、週替わりの焼菓子と珈琲他ドリンクを楽しめるカフェです。またカフェ営業日以外は菓子製造キッチン・ワークショップ利用・チャレンジキッチン等で活用されています。Instagramを覗くといつも美味しそうなスィーツと共に面白そうなイベント情報が流れてきます。オーナーとしてこの【すみとカフェ】を運営しているのは一般社団法人テンラボの代表理事を務める伊達あすみさんです。鹿児島市ご出身の伊達さんは、大学を卒業後、まちづくりの仕事をしつつ、個人的にハンドメイドや飲食を集めたマルシェイベントを企画運営。現在のイベント企画や人的ネットワークにつながっています。地域課題に取り組むテンラボに参画してからは、会議の進行や対話の場づくりなどの設計、運営するファシリテーションを経験。一対一の対話から、大人数での会議運営まで経験しました。出水市に関わり始めて10年になる出水市への想い、商店街を中心にこれまで続けてこられた人と人との対話についてお伺いしました。

文系出身で「まちづくり」へ

永山由高(現日置市長)さんが設立した一般社団法人テンラボに大学四年生の時に出会いました。その時に関わったのはある地域の話し合いの場を取りまとめるサポートでした。ちなみに、なぜそのようなサポートが必要かというと、観光や教育など町の色々な基本計画を策定していく上で、市民への説明は行政職員が行うことが大半です。ただ、その職員の多くが話し合いのプロではないのです。また行政職員という立場から地域の人たちとフラットに意見交換を行うことはなかなか難しい状況にあります。

そうすると町に変化も起きづらい。そこでまちづくり会社に行政が委託する、という流れになっていました。学生の時にそのサポートを続けているうちに、「まちづくり」に興味を持っていったことが今に至るキッカケです。

ただ、私は建築学科出身ではないし文系出身だったので「まちづくり」に参画するイメージが湧かずその入り口がわからなかったんです。そんな中テンラボが続けていたのは「対話」でした。そこにいる方のお話を聴く。そのことが貢献に繋がるんだ、と知ってから「ここならチャレンジしてみたい」と思うようになりました。

プロジェクト単位の柔軟なチーム編成

実は、現在私が代表理事をしている一般社団法人テンラボは事務員さんとの2人の会社なんです。私が参加した時から様々なメンバーがいますが、皆個人事業主として関わっています。プロジェクト単位でチームメンバーを変え、それぞれの得意分野を活かすといった柔軟な事業展開ができていると思います。

ただプロジェクト単位の契約が多いので、その後も継続できるかどうかはわかりません。そういった意味で、メンバーそれぞれ別に仕事をしたり事業をやっているような感じです。なので県内各地にいるメンバーがそこで出会った人々とその後別事業を広げていく、という展開もあるのかな、と思っています。

「朝カフェ」が広げた縁

出水に関わり初めて10年ほど経ちますが、初めの頃は目の前の人たちと向き合うことに必死。地域の課題解決に取り組む以前に、地域の人たちとの関係性づくりのほうが自分にとっては大きな課題でした。まずはお互いを知り、一緒にプロジェクトをしながら関係性を築いていくというのは時間がかかるものです。

地域の人たちが課題と感じていること、やってみたいことに耳を傾けながら、できることを模索していましたが、相手に求めるだけでなく、私自身も何かチャレンジしてみたいと考えるようになりました。

そこで早朝からオープンする「朝カフェ」を始めました。朝カフェという場を通して、自身で繋がっていくコミュニティが出来、直接意見を聴ける機会が増えました。そこから「何かをやろう!」とする人たちとの出会いが明らかに増えたように思います。

もっと人の声が聞こえる町に

ただ、この事がもっともっと認知されてほしいと思っています。私が「良いなぁ~」と感じるこの場所にもっと人が来てほしい、もっと人の声が聞こえる町になってほしい、と思っています。観光のお客さんはもちろんですが、地元の方々にも「出水にも行ったことないところまだあるよね~」という感覚で楽しんでもらえると嬉しいです。

当然まだまだ伝わっていないな、とも感じてます。SNSなどの表面的な情報もキッカケとしてはもちろん良いと思うのですが、実際にお店に入ってみて話したり関わったりしてみると「あぁ豊かな時間を過ごせたな~」と感じる。この感覚を共有できる方を1人でも増やせたら良いな、と今は思っています。

細く長く続けていきたい

代表として何かさらなるステップアップとか考えていますか?と聞かれたりするんですが、私は細く長く続けていきたいと考えています。何かポンッ!と変えれないことを自分でわかっているので具体的なビジョンはありません。

そもそも事例も答えもないので、こうやったらいいかな?と自分では思ってもみんなが本当に良いと思っているかはわからない。答えがわからないからこそ、自分が出水にいて感じる幸せなことや楽しいことをもっといろんな人に伝えていきたい。自分たちだけのものにしないように、これまで私が続けてきた「対話」を通じて地域との関係性を大切にしながら、持続可能な形で活動を続けていきたいと思っています。

出水そしてLifenseについて

—–出水はどんなところですか?

自分にとって、生きていく豊かさ(人、お店、風景、食べ物 etc…)を見つけられた場所。地元の鹿児島市内とはまた違う。もっと濃い、まちとの関係性を築けた場所。

—–出水市あるいは北薩のおすすめスポットは?

出水麓にある諏訪神社

福屋」のうどんと入木田ファミリー

本町商店街にある健康のお守りスポット「出水自然薬房

—–読者の方に一言お願いします。

自分の知らないまちで暮らしてみるというのは、人生のなかで貴重な体験だと思います。個人的にはとてもうらやましい体験でもあります。 まちの良さ、人の良さ、景色や香り、それらはこの”まちの人と関わり、働き、暮らしてみる”からこそ感じ取れるものだと思います。免許取得という目的をきっかけに、出水での素敵な出会いやご縁がありますように。

DATA
すみとカフェ<Instagram>
@sumito_cafe_izumi

写真:柏木 直紀
文章:松島 晋也

 

( CONTACT )
Lifense(滞在型免許取得)をはじめ、
MAPARTMENT(エキシビジョンルーム)に関する
ご質問やご相談、取材等の依頼はこちらから。
CONTACT US
出水自動車教習所 キャラクター TOP